電解液

有機系電解液


LiPF6などのリチウム塩とカーボネート系の可燃性電解液、少量の添加剤からなる。

(1) Li塩

(2) カーボネート(添加剤、主溶媒)

可燃性の有機電解液であるため、電池異常時に発火する可能性がある。

イオン液体

 

イオン液体は、幅広い温度範囲で液体として存在する塩であり、イオンのみからなる液体である。一般に100℃以下の融点を有する塩がイオン液体と定義されているが、室温付近に融点を有するイオン液体 “room temperature IL(RTIL)” が研究の中心である。

日本では、関西大学からのスピンアウト企業「アイ・エレクトロライト」が有名。


難燃性であるイオン液体を用いた電池は、安全性が高いが、入出力特性や低温特性が通常のリチウムイオン電池よりも劣るため、実用化が難しい。我々が使用している携帯電話やノートパソコンの電池は、発火する危険性が極めて低く、特性を落としてまでイオン液体電池を使用しようとは思わないのが一般的である。

アイエレクトロライト社は宇宙用に採用されているが、採算をとるには、マスマーケットで実用化されなければいけない。

高濃度電解液


高濃度電解液とは、リチウム塩を必要以上に濃度を高めることで、溶媒の性質を変えてしまう、例えば、溶媒の酸化還元耐性を上げたものである。これは、溶媒が塩と相互作用することを利用したものである。

(1) グライム錯体

ポリエーテルとLiTFSAやLiFSAを等モルで混合したものである。

エーテル単独の場合、リチウムイオン電池の高電圧に耐えれず、耐酸化性がもたないが、Li塩と作用させることで、4.2V程度の電圧も持つようになる。ただし、コバルト酸リチウムを用いた場合、LSV(Lenear sweep voltammetry)では4.2 V持つが、実際の電池では容量低下が観察され、オリビン鉄リチウムを用いると、比較的、安定なサイクル特性を示す。

LiTFSA系のグライム錯体では、負極側での被膜(SEI)形成能がないため、黒鉛負極と併用する場合は、LiFSAを用いるか、被膜形成用の添加剤が必要である。

(2) Water-in-salt電解液(水系)

水に高濃度のLiTFSAを溶かすことで、水の電位窓が1.2Vから広がることが、Scienceで報告された。


詳しいデータは、ARPA-Eプログラムの資料で確認できる。


Hydrate-melt電解液(水系)

 

Wate-in-saltと似た研究がこちらである。こちらはハイドレートメルト電解液と呼ばれる。

Nature Asiaのホームページより

高濃度電解液(有機溶媒系)


水系だけでなく、有機溶媒系でも高濃度にすることで、特徴的な電解液に代わる。ジメチルカーボネート(DMC)のような可燃性の溶媒を用いても、高濃度化することで燃えにくくなり、また、電池特性の向上も確認されている。

論文:Superconcentrated electrolytes for a high-voltage lithium-ion battery
Jianhui Wang, Yuki Yamada, Keitaro Sodeyama, Ching Hua Chiang, Yoshitaka Tateyama & Atsuo Yamada
Nature Communications, volume 7, Article number: 12032 (2016)

 


また、リン酸トリメチルを溶媒にし、高濃度化することで、自己消化性のある電解液も開発され、優れたナトリウムイオン電池が報告されている。

論文:Fire-extinguishing organic electrolytes for safe batteries
Jianhui Wang, Yuki Yamada, Keitaro Sodeyama, Eriko Watanabe, Koji Takada, Yoshitaka Tateyama & Atsuo Yamada
Nature Energy, volume 3, pages22–29 (2018)