最新の研究:フロー電池

最も高いエネルギー密度のオール有機物フロー電池

正極、負極活物質に多電子の酸化還元を示すオール有機物フロー電池がJouleで報告された。正極には5,10-dihydro-5,10-dimethyl phenazine [DMPZ]、負極には9-fluorenone [FL](FLはすでに他グループによって報告された材料)を組み合わせ、アセトニトリルに溶解した溶媒を用い、これまでのフロー電池の中で最も高いエネルギー密度を示した。

Joule Volume 2, Issue 9, 19 September 2018, Pages 1771-1782

セパレーターフリーのフロー電池

疎水性のイオン液体電解液と親水性の水電解液が混ざり合わないことを生かしてセパレーターをなくすことに成功したセパレーターフリーのフロー電池。

本論文では正極に親水性のジヒドロキシベンゾキノンを溶かした水電解液、負極に疎水性イオン液体溶媒に溶けるベンゾキノンを用いている。お互いに混ざり合わず、水電解液のほうが比重が低いため、上層が正極、下層が負極とすることができ、それぞれの液を循環させてセルで充放電する。

 

コンセプト自体は面白いが、やはり、イオン液体の高粘度が影響して、電流値が通常の水系フロー電池と比較すると1/100~1/1000である。イオン液体ではなく、別の疎水性溶媒に変えたら面白いだろう。

アルカリの鉄/亜鉛(Fe/Zn)フロー電池

正極に鉄化合物であるフェロシアン化イオン、負極に亜鉛を用いたフロー電池に関する研究。電解液は強アルカリである。
特徴は(1)安価な材料が活物質であること、(2)負に帯電させたセパレータを用いることで、亜鉛のデンドライトを抑制した。

 

同様な活物質を用いたフロー電池はViZn社が実用化を検討されている電池であり、注目されているが、正極活物質であるフェロシアン化化合物のアルカリ中での溶解度が低く、本論文でも0.5Mである。バナジウム系のフロー電池では1~2Mの濃度で使用されているため、濃度が低い分、電池のエネルギー密度は低下する。

*ただし、本論文では触れられていないが、フェロシアン化化合物の溶解度は約2倍にすることが可能である。

Negatively charged nanoporous membrane for a dendrite-free alkaline zinc-based flow battery with long cycle life
Zhizhang Yuan, Xiaoqi Liu, Wenbin Xu, Yinqi Duan, Huamin Zhang & Xianfeng Li
Nature Communicationsvolume 9, Article number: 3731 (2018)