最新の研究:新型電池

フッ化エチレンカーボネートをベースにした難燃性電解液を用いた5V級金属リチウム電池


Nature Nanotechnologyvolume 13, pages715–722 (2018)

フッ化エチレンカーボネートをベース(ジメチルカーボネートDMCと混合))にした難燃性電解液を用い、5V正極であるオリビンコバルト酸リチウム(LiCoPO4)やニッケルリッチ正極NMC811と金属リチウムを組み合わせた高エネルギー密度電池に関する研究。

5V正極と組み合わせたときの効率が99.93%、NMC811と組み合わせたときの効率は99.93%と高い。その結果、1000サイクル後の容量維持率は約93%と優れたサイクル特性を実現した。

 


硫黄正極用に原子状コバルトを電気化学的触媒として用いた室温作動のナトリウム硫黄電池。

2018年10月6日に、Nature Communicatonsで報告された、硫黄正極用に原子状コバルトを電気化学的触媒として用いた室温作動のナトリウム硫黄電池に関する研究。
Nature Communicationsvolume 9, Article number: 4082 (2018)

 

硫黄正極の課題は、硫黄の低反応性、ポリスルフィドの電解液への溶解である。中空カーボンナノ粒子の中に原子状コバルトを電気化学的触媒として導入し、上記二つの課題を改善した。


 

初回の可逆容量は1081 mAh/g、硫黄の利用率は64.7%と高い。また、600サイクル後の容量は508 mAh/gであり、室温作動のナトリウム硫黄電池としては良好なサイクル特性である。
電池特性だけでなく、オペランドRaman、放射光XRD、DFTによってきちんと分析されている。

室温で作動可能なナトリウム硫黄(NAS)電池

フォードによって提唱、初期に開発され、日本碍子が実用化した現在のナトリウム硫黄(NAS)電池は約300℃で動作する必要があるが、金属ナトリウムを溶融状態で作動させており、大変危険である。実際に爆発事故が少なくとも3回報告されている。

2018年9月24日、“cocktail optimized”電解液システムという方法を用い、室温で作動可能なナトリウム硫黄(NAS)電池がNature Communicationsで報告された。

Nature Communicationsvolume 9, Article number: 3870 (2018)

 

電解液溶媒にプロピレンカーボネート(PC)とフルオロエチレンカーボネート(FEC)の混合溶媒(体積比で1:1)を用い、高濃度のNa塩(2 M NaTFSA) を溶かし、また添加剤に三ヨウ化インジウムを用いる。高濃度のNa塩が溶けたFECを使用することで、ポリスルフィドイオンの溶解を抑制し、また、負極表面で安定な被膜(SEI)を形成できることを、実験的及び計算化学的に確かめた。三ヨウ化インジウムのヨウ素イオンは正極側において酸化還元のメディエーターとして機能して反応速度を高め、インジウムイオンは負極側でIn金属として析出して保護被膜の役割を担う。

500サイクル間、室温でも作動できており、大きな進歩ではある(室温作動のNAS電池としては高容量で最長のサイクル特性、エネルギー密度は886 Wh kg−1と高い)が、容量劣化が観察され、改善は必要である。

ヨウ素/炭素電池

織物状かつポーラス構造の炭素を支持体(担体)にし、孔内にヨウ素を担持(固定化)し、ヨウ素の酸化還元反応を促進させ、金属リチウムを対極にして電池を評価した。高いレート特性を示し、また、2000サイクル間の長い間電池特性を確認している。電池電圧は平均で約3Vであり、対極にリチウム金属ではない、ちょうどよい材料が見つかると優れた電池になる可能性はある。

ヨウ素は地球上に豊富に存在する元素であり、酸化還元も可逆であることが多い。

ただし、ヨウ素分子はカーボネート電解液にも溶けるはずであり、孔内に担持したからといって、完全に電解液への溶解を抑制できているとは思えない。